『介護ヘルパーは見た』と『ケアマネは見た!』を両方見てみた。
ヘルパー。介護士。ケアマネージャー(ケアマネ)。
高齢化の進む社会で一大関心事となっているにもかかわらず、「介護職」って介護をする人…くらいのあいまいな理解のままなので、参考図書として以下の本を読んでみました。
介護ヘルパーは見た 世にも奇妙な爆笑! 老後の事例集 (幻冬舎新書)
- 作者: 藤原るか
- 出版社/メーカー: 幻冬舎
- 発売日: 2012/11/23
- メディア: Kindle版
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たった一つの事例なれど
もちろん介護現場の全てを解説した本なんてないし、どれも誰かが書いた特殊例として眺めるしかないのでしょうが、上記二冊は全然違いますね。
何が違うって、トーンが違う。ぜんぜんチガウ。
ケアマネージャーは実際の介護作業に携わるわけではなく(知らなかった…)、ケアのマネジメント(管理)を行うわけですね、ふむふむ。
実際に老人の世話をするのはヘルパーさんだと。ふむふむ。施設に勤めていたり、訪問介護事業所に勤めたり、派遣されたり、そんな方々がケアマネの立てたプランに従って介護を行う。
ので、『ケアマネは見た!』のケアマネさんも何と言うか介護家族を客観的に見つめながらかかわり方を模索しているし、『介護ヘルパーは見た』のヘルパーさんは主体的に本人と関わりながら家族の様相を観察しているし、トーンが違って当たり前と言えば当たり前かもしれません。
また、『ケアマネは見た!』にはある種の諦念が伺えるのに対し、『介護ヘルパーは見た』には現状を良くする手立てと意気込みを感じます。
良いも悪いもなく、職種や職掌範囲の違いからくる(?)そんな違いが、2冊読み比べてみることではっきりしたように思います。
現状を如何に認識するか?
『介護ヘルパーは見た』の副題は「世にも奇妙な爆笑!老後の事例集」となっていますが、これは本書の前半部のみを表しているに過ぎません。
手に取ってもらうための、といえば斜に構えすぎかもしれませんが、著書である藤原るかさんが最も読んでもらいたいのは後半部なのではないかと(勝手ながら)思いました。
曰く。
お上の稚拙な対応により、現場は苦労させられている。法律や規制が、生活に即していない。以前よりも環境は悪くなっている。などなど。
介護保険制度を改悪する(ように見える)厚生労働省に対して改善要求を出したりするなど、積極的に活動されてもいるようです。
「今より悪くなること」について
しかし、厚生労働省が考えも無しに制度を改悪する訳もなく(と信じたい)、そこには深く暗い財源の問題が潜んでいます。
「善き時代の方法に戻せ!」
と訴えるのは簡単ですが、この要求は以下のことと同義であることを認識しなければなりません。
「現役世代や将来世代のことなんて知ったこっちゃねーから、現在の高齢者世代が笑って暮らせる制度にしろ!」
制度が公費によって賄われている以上、「現状維持」は負担の先送りでしかありません。「改悪」と呼ばれる全ての制度改正は、この負担の先送りを是正するためにやむなく行ったことと考えれば、安易に「改悪」批判は出来ないはずです。
昔より悪くなった「今」は、未来よりも圧倒的に恵まれた時代なのかもしれません(現状維持を選択すれば、確実にそうなります)。
実際に現場で介護されているヘルパーさんが現状は悪化の一途だと感じたとしても、容易にそれを改善することはできません。
未来のことは誰にもわからないと言う事実は、この場合、「希望」とさえ言えるかもしれません。
オススメのマンガ
介護する人が増えるにつれ、介護を扱った漫画も増えてきました。
しかし、やはりこれを外すわけにはいかないでしょう。
ビックリマークが1個の『ヘルプマン!』は27巻で完結し、新たに(出版社が変わって)『ヘルプマン!!』が描かれているようです。
介護保険制度の歴史も変遷も分かって大変に面白いです。オススメ。