話題を集めたい各種スポーツ業界は「キネシオテープ」の如き大いなるプラシーボ効果が必要だ
キネシオテープとは「キネシオテーピング」法によって患部の治癒を助けるテーピング用テープの一つ。キネシオロジーテープとも呼ばれている。
Wikipadiaを見るまでもなく、肌に貼り付けて筋肉を補助するらしき杵塩テープ…じゃなかった、「キネシオテープ」。
キネシオロジー理論による効果の“説明”はありますが、科学のメスは“現象”としての効果に迫ろうとしています。
科学的研究
ある種の医療類似行為に効果を見出す場合、求められるのはプラセボ対照試験のような適切な対照を配した、盲検です。
実施されたプラセボ対照の単盲検試験の結果は以下。
Kinesiology tape does not facilitate muscle performance: A deceptive controlled trial
http://www.manualtherapyjournal.com/article/S1356-689X(14)00141-6/fulltext
Kinesiology tape does not promote vertical jumping performance: A deceptive crossover trial
http://www.manualtherapyjournal.com/article/S1356-689X(15)00130-7/fulltext
結果はいずれも「ネガティブ」。すなわち、プラシーボ効果以上のもではなかったとの結論が出ています。
筋力発揮を助けないし、垂直跳びの成績を向上させもしない。
おもろい動画も公開(英語)されましたよっと。
Why Do Athletes Wear All That Weird Tape?
日本発祥のテクニック
実はこの「キネシオテープ」、Wikipediaに依りますと日本発祥だそうで。
1980年、ドクター・オブ・カイロプラクティックである加瀬建造により日本で開発され、その後全世界にキネシオテープならびにキネシオテーピング法は普及している。
「ドクター・オブ・カイロプラクティック」とか超かっちょいいのですが、兎に角この加瀬氏によって開発されたキネシオテーピングは海外でも「KinTape」などとして普及しています。
もちろんその効果がプラシーボ効果だからといって、それは無意味であるというわけではなく、ある意味で実際に身体に作用を及ぼしうるという話でもありますので(いや「テープ無し群」と成績が変わらないのか…?すんません、興味があれば上記論文を丁寧に読んでみてください)、もし今現在その効果・効能を実感しておられるならば、それを否定するものではないです。
製品も各種メーカーがいろいろ出してますので、興味があればぜひお試しください。
3M(スリーエム) キネシオロジー テーピング マルチポアスポーツ レギュラー 50mm 1巻 2743BLP50
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陸上業界に、新風吹き込む?
記憶に新しい2016年夏のオリンピック、リオデジャネイロ大会。
大会前から陸上競技では色々と話題がありましたが、女子短距離の福島千里選手がお腹に張り付けたテープも、各種メディアで採り上げられたところであります。
日本新記録更新が、そもそも選手のチカラなのか、それともこのテープが潜在的能力を引き出すという“効果”を発揮したのが分かりませんが、後者だと信じてみると幸せになれるかもしれません。
水泳競技においても怪物、マイケル・フェルプス選手が「カッピング」という中国発祥の痛み治療を行って、
「いや、それプラシーボ効果やん?」
という指摘を受けつつも前人未到の記録を打ち立て、批判をモヤリと霞ませる圧倒的パフォーマンスを見せつけました。
眠れる獅子の如く闇に控えた「伝統療法」や「新規療法」が日の目を見る機会を今か今かと窺っている様を想像してみれば、スポーツ業界を熱くするのはこうした科学未踏の療法なのかもしれない。
注目を浴びるために勝ち上がることを求め続けた卓球界の水谷選手ように王道こそ常道ではありますが、世界に追いつくことが難しい競技(特にマイナー系)においては、何かしらペタンコペタンコ貼り付けたり、目立つ跡を付けてみたりする邪道を往く必要があるのかもしれません。
日本の医療類似行為開発力も、「キネシオテープ」の例の如く素晴らしいものがありますので、各種スポーツ競技関係者は探りを入れてみると良いかもしれません。
医療の本質と変容―伝統医療と先端医療のはざまで (熊本大学生命倫理論集)
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