非セリアック病、“自称”グルテン感受性患者の症状は小麦グルテンではなくノセボ効果が原因?
テニス界の“絶対王者”が、下腹部痛に悩まされながら頂点を極めた逸話が広く知られています。
ピザやの倅だったジョコビッチ選手、実は小麦粉含有タンパク質であるグルテンに耐性が無かったとか。
こうした話が広まるにつれ、グルテンフリー健康法が実践されつつあります。
“自称”グルテン感受性患者
「グルテンやめてみた!そしたら、めっちゃ調子いいんだけど!」
といった大きな声に導かれるように、小麦粉などを摂らないグルテンフリーの食事法が進められるようになっています。
こうした方は、こう実感するでしょう。
「わたしも、グルテンがダメな『グルテン感受性』の人だったんだ!」
セリアック病と言う自己免疫疾患
実はグルテンを全く受け付けず、グルテン含有食品を口にすると確実に下痢してしまう病気が存在し、セリアック病(シリアック病)と呼ばれています。
その多くは遺伝的素因を有するとされ、一種の自己免疫疾患と認識されています。
とすれば、上記の“自称”グルテン非耐性さん達もこの「セリアック病」なのでしょうか?
いや、どうやら違っているようで。
NCGS
NCGS(non-celiac gluten sensitivity)、すなわち、「セリアック病の遺伝的要因を有さず、身体がグルテンに過剰反応してしまう方」が一定数おられます。
そこでみられる本物の身体症状は、やはりグルテンが原因で起こるのだろうと言う訳です。
さて、ここに異議を唱える研究者がいました。
「いや、こうした“自称”患者の症状は「思い込み」の面が大きいんとちゃうか…」
もちろん現代の科学研究者は実証主義志向であり、臨床実験の結果に基づく研究を実施しています。
Gluten not responsible for symptoms in most patients with NCGS
概要はご参照いただくとして、結果はどうだったか?
参加者の16%は、どうやらグルテンに反応している。
だが、40%も反応してしまった。グルテンを一切含まない偽薬(placebo)に。
結果を総合的観点から判断すると、NCGSさんたちにとって、グルテンは(彼らが主張するほど)悪役ではなかったようです。
自らの内に潜む悪魔
では、NCGSの皆さんが体験した本物のつらい身体症状は一切合切が幻だったのでしょうか?
そうではない、と研究者は述べています。
「それはノセボ効果だ」と。
効くはずのない偽薬でも効くと思い込んで飲めば効いてしまうという、おなじみの「プラセボ効果(プラシーボ効果、偽薬効果)」。
その反対に、悪くなるはずだと思って飲めば偽薬でも体調を崩してしまう「ノセボ効果(ノシーボ効果)」が存在しています。
「グルテンがダメなんだ!」と強く信じ込んでしまえば、グルテンが入っているかもしれない何かに対しても身体は拒否反応を“起こせる”という奇跡的事実。
こうした現象を使って(つまりは騙して)、“自称”グルテン感受性患者を見分けることもできるんじゃねぇのってことで期待が高まっています(?)。
ただまぁ、実際にグルテン・フリーの食事をしてみてなんとなく調子が良くなった気がするのなら、それはそれで美味しい話ではありますので、実践者の皆様におかれましては自らの信念に従い、心豊かにお過ごしいただきたいと思います。