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踊る!珠玉のダンス漫画s:定番の『昴』、『ボールルームへようこそ』に新星『ダンスール』加入で熱い展開に

「雨に唄えば」オリジナル・サウンドトラック

 

 

2016.10.28追記

ワガノワ国際バレエコンクールで日本人の女の子が優勝&準優勝。男子も2位という好成績だそうで。

 

www.jiji.com

 

当記事の話題にマッチするタイムリーなニュースなのでご紹介。こーれはバレエダンス漫画業界盛り上がるでぇ…!

 

 

のんさんのお気に入り

かつての人気絶頂期にのんさんこと能年玲奈さんことのんさんが雑誌か何かのインタビューに答えたところに拠れば、のんさん(当時、能年玲奈さん…ってややこしいな)が最も好きな映画は『雨に唄えば』だそうです。

 

matome.naver.jp

 

いや、2013年9月の『あさイチ』で最近感動した映画としての言及だったそうで。

 

能年さんはさておきこの『雨に唄えば』、端的に言えば大人たちが踊り狂って幸せになるミュージカル映画なのですが、公開された1952年当時、エンタメ作品の軸がダンスに据えられ、ダンスを中心にストーリーが展開されるという、ダンスバカ(失礼)たちの狂気を垣間見ることができます。

 

ダンス(マンガ)好きで未だ『雨に唄えば』を見たことが無いのなら、一度見ておいて損はない。無茶苦茶楽しい映画です。

 

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ダンスを扱った作品群

ダンスを扱った漫画は全て読み尽くした…といえば全くの嘘で、数少ない読了&購読中のダンス漫画が面白いので紹介したいのだけれどその前に。ダンスの大まかな種類を知っとけば理解も深まろうかと思うのでそちらを軽く触れてみましょう。

 

タンスほどでなくともダンスには色々なジャンルがあって、『雨に唄えば』などはタップダンスが出てきます。現在の(ミュージカル)映画がタップダンスをあんまり扱わないのは過去の偉大な作品群がグレイトに過ぎるからかもしれません。ジーン・ケリー恐るべし。流行り廃りもあろうかと思いますが。

 

ダンスの本場(?)インドの映画 まで把握しちゃいませんが、現在の主流はヒップホップダンスのタイマン・ダンスバトルやチームダンス・コンテストで聖地を目指すとかフラッシュモブ的に街を占拠して群舞を披露する大掛かりな映画が多いような。『ダンス・レボリューション』とか『ステップ・アップ』とか。シリーズ1作目とか滅茶苦茶面白いし、シリーズを重ねるごとに規模や盛り上がりで前回越えを要請されて確実に進化してゆくとはいえど、行きつくとこまで行けば中々超えることができません。もう全身電飾タイツで誤魔化すことはできないのだよ。

 

求ム、ダンス・ダンス・イノベーション。

 

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 映画の流ればかり見てましたが、本題はマンガ。

 

マンガと言えばもちろん静止画のみの表現で、動きこそが命のダンスを扱うには不都合が…と思われがちですが、さにあらず。確かに現代主流のヒップホップ映画のようなクルンクルンしちゃう躍動感はどれだけ手練れのマンガ家先生にも描き出すことはできないでしょうが、ジャンルを選べば、それはもう表現として物語として非常にうまくダンスが成立しちゃうわけでありまして。

 

そんな作品たちを紹介したい。

 

ソシアル(社交)ダンス

マンガが本題だといったそばから映画の話で恐縮ですが、日本で社交ダンスを扱った作品といえばこれはもう『Shall we ダンス?』を外すことができません。草刈民代というマジモンのプロダンサーが主演したこの映画で日本の社交ダンス人口は激増した…のかどうだか全然知りませんが、1996年当時、間違いなく大きな話題となっていました。

 

Shall we ダンス?

Shall we ダンス?

 

 

ダンスを扱った作品を誰が観るか、誰が読むかと言えば、第一等候補にダンス経験者が挙がってくるわけなので、こうしたヒット作品が生まれダンス人口が増加することは(マーケティング的に)その後のダンス作品の成否に大きく影響するでしょう。

 

さて、この社交ダンスを扱った漫画作品。

 

『ボールルームへようこそ』(連載中)

 

ボールルームへようこそ(1) (月刊少年マガジンコミックス)

 

 

自らの天才性に気付いていない主人公(男の子)がひょんなことから国内トップクラスの競技者と出会ってある競技種目に興味を持ち、競技にのめり込むうちに素敵な女の子やライバルと出会って成長を遂げ…というあらすじに既視感があるかもしれませんが、まさにこの、少年漫画における物語の王道とも呼べるストーリーが社交ダンス(競技ダンス)を題材に進められる作品。それが『ボールルームへようこそ』です。

 

ダンスと言う競技の特性上、身体性を重視した表現が多用され、もちろん座っていたり寝転がってマンガを読む読者自身がそれを体感する訳ではないのですが、何となく理解・共感されるヒトとしての身体感が刺激されて、でもやっぱり真に実感として得られるわけでもなく…というアンビバレンツな状況がある意味では快感に転じてしまうような。

 

まぁ、ひとことに言えば「面白れぇ!」なわけですが。いや「うらやましい!」かもしれない。主人公に嫉妬しているのかもしれない。主人公の非凡な天性の才に。

 

 

社交ダンスはもちろん天才たちだけのものでなく、いまでは創作ダンスが体育の授業で扱われるほど市民権を得ているわけで、逆にフツーの、いやちょっとどんくさいくらいの高校生たちが描かれるマンガ作品もあります。

 

それが、『BUTTER!!!』。完結済み。

 

BUTTER!!!(1) (アフタヌーンKC)

 

ダンス漫画あるあるとしては、登場する中学生、高校生の男子がダンスへのコミットメントをこう逡巡するシーン。

 

「いやいや、男子がダンスって。ありえねーし!」

 

もちろんこれが物語を盛り上げるロイター板みたいな装置として機能し、その後ダンスにハマりのめり込むという流れまでが一連の展開になります。おそらく、思春期の多感な男子主人公が口上として一度は発しておかなければならない流行病か何かなのでしょう。でも一度沈み込まないことには、高みを目指すことなどできないのです。絶対に。

 

もうひとつのダンス作品あるあるとして、社交ダンスで男女ペアを組むその初取り合わせで…と書けばもう想像できるかもしれませんが、もちろんこの“拾っておくべき”エピソードも『BUTTER!!!』ではしっかり描かれていますので気になる方は是非。

 

BUTTER!!! 全6巻完結セット (アフタヌーンKC)

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次、バレエ。

 

バレエ・ダンス

世界中のプロ・ダンサーたちが所属するダンサーズ・サークルにおいて頂点を極めるバレエ・ダンサーたち…などという事実はありませんが、ダンス界の王道的扱いをされるバレエ。ロシアを中心にヨーロッパ勢が主力を占める中、地理的にも、遺伝的・体格的にも不利になりがちな日本生まれの日本人がバレエで世界を目指す…というのは一つ、物語として盛り上がり要素十分な作品が生まれる余地があります。

 

『昴』もまた、バレエを扱った漫画作品の一つ(完結済み)。

 

昴(1) (ビッグコミックス)

 

大きなものを背負っちゃってる系の主人公(女の子)が、バレエダンス界でその天才性を開花させる物語。大抵のマンガ作品は主人公が業界トップクラスか超人的才能を持つ天才で、『昴』のすばるちゃんもまたその一人です。

 

生の高揚を、ダンスでしか感じられない。と書くとなんだかネガティブな印象にも取れますが、実のところ『昴』を読めばそれがどれだけのことかとやっぱりうらやましく感じてしまうほどの血の滾り(たぎり)、精神の没入感がダンスにはあるようで、めちゃくちゃ惹きこまれます。

 

伝統を重んじるバレエと言えど変革を免れず、多ジャンルを参考に何かを見出す的エピソードは実は昨今のダンス映画あるあるのマッシュアップ的演出で、もちろんその効果は『昴』でも発揮されます。その辺りも良いですね。ヒップホップ・ダンスが出てくるあたりの話。

 

『昴』でダンス漫画に目覚めた、興味を持った方も多いかと思いますが、最近は多様な層からの参入がありますので参照のための記念碑的に置いておこう。

 

 

昴の連載終了が2002年だそうで。

 

2016年現在、注目のバレエ・ダンス作品と言えばこれ。

 

『ダンス・ダンス・ダンスール』(連載中)

 

 

ダンス・ダンス・ダンスール 1 (ビッグコミックス)

 

 

例によって天才が開花する物語。めっちゃ面白いですから。ダンス漫画に興味ある方、必読ですよ。でも未読でしたら読み始める前に、上で紹介した作品群をしっかり購読・鑑賞して、単位を取って卒業してから来てくださいね(連載中の『ボールルームへようこそ』を除く)。

 

なぜか?

 

これまでに紹介した「ダンス漫画あるある」が、これ以上ないほど的確に拾われているからです。

 

「ヒュウ!(口笛の音)、やってるやってるっ!」

 

こんな風にベテラン風を吹かしながら楽しみたいなら、是非とも先達の偉大なる作品を読むことをオススメします。『昴』の主人公が女の子だったので『ダンス・ダンス・ダンスール』の主人公の男の子とはバレエダンサーとしての立ち位置が正反対で、でも社交ダンス界では男子主人公の『ボールルームへようこそ』が先行していて、と良い具合に絡み合いクロスして、エピソードの重複なんかも二倍三倍と楽しめるわけです。

 

絵も良い。凄く良い。

 

 

ダンス漫画と一言に言っても、社交ダンスにバレエダンスにと、ジャンルが違えばストーリー展開も違ったベクトルを持つわけです。読み比べる楽しみがあって面白いですよ。

 

「そういえば最近、踊り狂い足りてねぇな」と感じている方、まずはこれらの作品群に触れてみることから始めてみませんか?