抗うつ剤「レクサプロ(一般名:エスシタロプラム)」の長期服用効果は開始1週間後の脳波を見れば分かるとな?
抗うつ剤、レクサプロ。
海外の有名女優さんが長年愛飲服用していることを告白すればニュースになるおくすり、レクサプロ。
日本では持田製薬がレクサプロを販売しており、好調な売れ行きを示しているそうです。
適応拡大
抗うつ剤としてのレクサプロは2015年に適応が拡大し、「社会不安障害」治療にも使えるようになったそうな。
先に挙げた女優のアマンダ・セイフライドさんが「強迫性障害」治療としてレクサプロを飲んでいたと言う話で、
「ずっとレクサプロという薬を服用しているの。今後も絶対に服用はやめないわ。」
と述べているように、薬に対してもあるいは強迫的な観念を抱いてしまうものなのかもしれません。
などと言う話はさておき。
抗うつ剤の問題点は効果の見極めが難しいこと
抗うつ剤、特に選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)は導入当初「夢の薬」ともてはやされたものの、その効果には疑念も。
と言うかむしろ、うつ病患者を急増させたのではとも指摘されてます。
「しばらく飲み続けないと効果が現れません」と医療者側が主張し、長期服用を前提とする投薬計画を立ててみればあら不思議、次第にこの薬が無いと生活できないとわざわざ患者さんからせがんでくれる美味しいオクスリになったりならなかったり。
抗うつ剤をはじめとするうつ病治療の大きな問題の一つは、効くか効かないかの判定がすぐにはできないという点にありました。
脳を見れば、効果が予測できる?
しかし、新たな知見に依れば、そうした状況を打開できるかもしれません。「Journal of Psychiatric Research」に掲載された論文がそれ。
Andrew F. Leuchter et al.,
Escitalopram but not placebo modulates brain rhythmic oscillatory activity in the first week of treatment of major depressive disorder
DOI: http://dx.doi.org/10.1016/j.jpsychires.2016.10.002
Escitalopramはレクサプロの一般薬物名「エスシタロプラム」のことで、これを投与して一週間もすれば、脳波(アルファ波とかベータ波とかシータ波とか)の状態・割合が変容する場合があり、それを量的に測定すれば予後が予測できたと主張されています。
投与開始後1週間での脳波の変化を見れば、7週間後の未来が見通せると。
もうちょっと詳しい内容は以下記事(英文)にて。
もし「効く」タイプの状態であれば服薬を続ければいいし、「効かない」と予測される状態であればレクサプロ以外の薬物を用いるか、認知行動療法などその他の療法を即座に試みればいいし、と。
とにかくいちばんつらいのは「未来に期待を残しつつ、待つ。飲み続ける」と言う状況なので、どうにか諦めを付けて次へサクサク移れるのは、患者さんにとってはとても良い気がします。
ある意味では革命的ですね。
正確な未来予測はいつだって革命を起こします。
あるいは、逆に脳波を最適な状態へ調整するといううつ病治療法が開発される期待も…?
世の中には面白いことを考える人もいますね。脳波でコントロールするおもちゃ。
脳波でコントロールするネコ耳。
脳波トイ、きてるね。