ビオフェルミンR錠の売上低下と風邪薬としての抗生物質の処方量低下が関係しているかもしれない話
ビオフェルミンの株価が目下上昇中(2015年12月現在)。
ビオフェルミン製薬(株)【4517】:株式/株価 - Yahoo!ファイナンス
業績悪化?
株価の上昇とは裏腹に、その売上高は低下しています。主力の新ビオフェルミンS錠の微減以上に目を引くのは、医療用医薬品の大幅な売上低下。
「ビオフェルミン配合散」という病院で処方されるタイプの医薬品ですが、これ、前期比29.1%減。
「ビオフェルミンR」というこれまた病院で処方される医療用医薬品が前期比31.7%減。
滅茶苦茶落ちてます。
風邪に抗生剤の時代が終わった
ビオフェルミンと言えば乳酸菌を主剤とする整腸剤なので、お腹の調子が悪い時に飲む薬です。蒼井優のテレビCMがガンガン流れているので群雄割拠の乳酸菌業界でも知名度は随一。大正6年、1917年創業という長い歴史から見ても、その信頼度の高さは言うまでもなく。
さて、実は「ビオフェルミンR」の「R」は抗生物質に対する耐性がある乳酸菌を含んだ製剤と言う意味で、抗生物質とともに処方されることが多かったのです。
風邪で熱が出たからと病院へ行ったら、解熱剤、抗生剤に加え、この「ビオフェルミンR」が処方されることも多かったのです。抗生物質が腸内の常在菌叢をも殺してメタメタにしてしまうから、それを補完、補強するものとして。
ですが、このウイルス感染を主原因とする風邪に対して抗生物質が無効なことが知れ渡り、病院へ行っても抗生物質のおくすりはもらえないことが増えてきたそうな。じゃあ「R」もいらんよねー、売上落ちるよねーって話もうなずけます。
別の解釈
医療用医薬品として乳酸菌製剤を製造している会社は他にもあって、
「ビオスリー」の東亜薬品工業株式会社や、
これら他企業がパイを奪って一年で3割分を奪い取ったという解釈も可能っちゃ可能。とんでもなく有能な営業部隊を編成しているのかもしれない。
ただ非上場企業ゆえ、大変残念なことに決算情報をウェブ上に公開されていないようなので(未調査)、官報の決算公告で大まかな情報を得るしかなく。
今のところ、詳細は不明です。
【追記】会社四季報
会社四季報によれば、在庫積み増しの影響だとか書いてました。
前記ドカッと売っちゃって在庫を増やしておいて、今期分の売上を先取りしてたと。
この辺は親会社の大正製薬が販売に絡みだした影響かもしれない。
やっぱりそうでしたーの後日談。
乳酸菌の有用性は変わらない
とは言え、時代のトレンドは乳酸菌サプリ全盛時代と言えるような様相を呈し、我々のような一般消費者からすれば良いものを選びたい放題になっていることは間違いありません。
基本的には腸内の細菌叢(腸内フローラ)と仲良くして免疫賦活力をアップ、病院へ行くこと自体を避ける自己予防的な使われ方が多い乳酸菌サプリ。もちろん、腸のそもそもの作用である「しっかり出す」をがっつりサポートしてくれます。
ちょっと前、とある知人に「この頃、ずっと妻が不機嫌なんだが…」という悩みを聞いたので、「うん、『乳酸菌革命』を黙って渡せ。」と投げやりに回答しました。
最近会ってみると、ニコニコしてました。奥さんの機嫌が直ったようです。夫婦関係革命、勃発。
歴史や伝統ある商品も安心感はありますが、時代を経るにつれて進化する部分ももちろんありますね。乳酸菌、恐るべし。