看護師の仕事探しは公営か私営か?介護士不足と転職・再就職支援サービスの今後も不透明
10年後までの近い将来、看護師が足りなくなるという危惧があります。医療の現場は看護師の存在あってこそなので、看護師人材不足はその崩壊を意味します。
と、いうわけで?
(准)看護師の転職・再就職支援のマッチングサイトやマッチングビジネスが花盛りだったのですが。
届け出制度
2015年10月より、「看護師等の届出制度」が始まったそうな。
保健師、助産師、看護師、准看護師の免許を持っていて今現在医療関連のオシゴトをしていない方は、都道府県ナースセンターへ届けることが努力義務になったと。
結婚、出産、そのた様々な理由で休退職した潜在看護師を把握して、再就職へと導く施策で、「看護師等の人材確保の促進に関する法律」を根拠とした公的な仕組み作りです。
え、私企業の人材マッチング業務とモロにバッティングしますやん。
リクルートなどが、こうしてお金をかけて宣伝し、業界最大級の求人数とそれに見合う潜在看護師、転職希望看護師のプールをせっせと創り出していたにもかかわらず。
「無料職業紹介事業」を謳う「eナースセンター」。
医療機関としては、大きな額の宣伝費用を負担しつつ慢性的に不足する看護師の取り合いになっている為、無料で求人出せるなら出しとけってことになるでしょうし。
求職者としても、公的なお墨付きがあればなんとなく安心できそうだから流れてきそうだし。
なんてったって、努力義務となった届出制度と紐づけられるのだから怖いもんなしでしょう。ちなみに、看護師免許をお持ちの方は特設サイト「とどけるん」で届出を完了することができます。
ちょっと話逸れますが、過去の人気ドラマ『ナースのお仕事』とか『N'sあおい』とかでこのテーマを採り上げれば再就職者は万人単位で増えると思うのです。
どやろか。
価値ある提案って何だろう?
私営の転職支援サイトで提供できる価値というか「素敵な体験」と言えば、コンサルタントに親身に相談乗ってもらえたとか、最適な職場が紹介してもらえたとか。
転職希望の看護師一人登録すればウン万円が紹介者に支払われる、なんてアフィリエイトプログラムがあるのでそれ以上を医療機関から取ってたんでしょうが、「素敵な転職体験」を提供しようとする経営は非常に難しくなるでしょうね。
アフィリエイターからしたら公的サイトへ誘導したところで一円も発生しないので紹介へのモチベーションは低いもんですが。厚生労働省がアフィリエイトでもやってくれりゃあ話は違ってくるのだけれど。
官僚のお戯れ
職員不足は介護業界でも深刻で、看護師同様の私的な転職支援サービスが介護士向けに提供されているのですが、こちらもどうなる事やら。
今、業者さんは会員数を伸ばそうと懸命ですからね。めちゃくちゃお金を使ってますからね。
介護士が数十~百万人単位で不足することは確実視されているため、求められたら「あらよっと」って感じで軽く人材を紹介できるほどに人を集められたら引く手数多でウッハウッハなわけなので。
なのに。
公的な登録サイトできたよー、努力義務って言っても失敗なんか許されてないから公費でガンガン広報かけちゃうよー
とか官僚様から通達された日にゃあ、顔面蒼白んなっちゃうんじゃないか。…今まさに看護師業界に現実に起こったことなので、間近に迫った地殻変動な気がします。
特化型人材業界のみなさん、人材不足というチャンスがピンチに変わる日にいつでも逃げだせるよう備えましょう。
未来を看通せる者など…
実のところ、数年後の未来がどのようになるのかは誰にもわかりません。日本国政府だって、今はまだ「どうなりそうか?」しか議論できていないのですから。
2016年6月10日 医療従事者の需給に関する検討会 看護職員需給分科会 第2回議事録 – GIJIROCK
ただ、こうした公的な議論に目を通しておくのは意味ある事かも。