サイケデリックな極彩色の夢を見せるLSD(アシッド)、創造性向上と心理療法への応用の道は開けるか?
LSDと言えば幻覚剤でぶっ飛んだ状態で見える極彩色の景色が素晴らしく、クリエイティビティも向上させるって話で大人気。
かの想像力の権化、ベンチャー・スピリットの体現たるスティーブ・ジョブズ氏もズブズブにのめり込んでいたそうな。
もちろん脳への直接的影響を有する薬物として危険性が指摘されているところではありますが、その効果たるや確たるものがあり、科学的な解明が待たれているのもまた事実。
LSDが及ぼす作用
LSDは軍事研究が元だったと記憶しています(自白剤?、戦士を不眠不休で働かせる強壮剤?)が、研究は現在進行形で続けられています。
上記記事で引用されたのは下記研究論文。
Semantic activation in LSD: evidence from picture naming
http://www.tandfonline.com/doi/full/10.1080/23273798.2016.1217030
セマンティック(semantic)というのが「意味論」とか言う意味で、ここでは言語学的な研究が実施されています。
創造性の源泉
「あらゆる創造は、既存概念の新規の組合せである」旨を誰が言ったか知りませんが、とかく“創造”の神秘性が語られがちな世情において、「既存の」ものを「組み合わせる」という庶民感覚が非常に広く受け入れられました。
それ(創造、クリエイティブ)って、誰でもできること。
そう信じることのできる世界は、その逆よりも明るいものに思われます。
ただ、実生活で感じる如く、日々何かを想像しているかと言えばそうではなく、既存のものを既存の組合せでしか用いることのできない厄介さは人間の脳に由来するとも言われます。
脳には、癖がある。
習慣の虜となりがちで、エブリデイ・ローアクセルを求める人間の脳は、新規組合せをあえて選ぼうとはしない傾向があるようで。
LSD(アシッド)でぶっ飛べたら
LSDをキメてでぶっ飛ぶ…というほど過激な表現でなく、上記の研究で調べられたのは極少量(マイクロ・ドーズ)におけるLSDの効果。
そこでは、視覚認識と言動の一致・不一致が図られました。
“いつもの(=正しい)”組合せか、“新規の(=誤った)”組合せか。その傾向が見られました。
するとLSD投与群において、“新規の(=誤った)”組合せが選ばれることが多かったそうで。
これは、あるきっかけで探りを入れる際、脳内引き出しのいつもとは(ちょっと)異なる部分を開けてしまうことに当たる現象のようで。
つまり、強制的に“新規の”組合せが選ばれてしまう(可能性が高まる)、と。
それはすなわち、創造性の高まりをシミュレートできてるんじゃないか、と。
そういうわけなのだそうで。
治療応用も
実はLSDは軍事目的で開発された、と橘玲さんの著作で読んだ気がします。
ただ、軍事応用は断念されたと。
一方、上記のような“効果”には確かなものがあるわけで、医療と言う名の柵で囲い込むことさえできれば、精神疾患等の治療上の有効な手段にはなりえるだろうとも考えられています。
将来的には、医師からLSDが(名前を変えて)処方される日が来るのかもしれません。
まずは、大麻解禁。
続いてLSD解禁という未来が、結構な蓋然性でもって“実際に”語られているということを知っておいて損はありません。
「ダメ。ゼッタイ。」
として、覚せい剤やシンナーや麻薬何かが一緒くたにタブー視されている現状は、いつかどこかで変わってくる…はず。
ドラッグ・内面への旅―インドの阿片・LSDから幻覚性茸・覚醒剤まで
- 作者: 真中史雄
- 出版社/メーカー: 電子本ピコ第三書館販売
- 発売日: 1989/12
- メディア: 単行本
- 購入: 1人 クリック: 11回
- この商品を含むブログ (3件) を見る