新規ぜんそく治療薬候補「Fevipiprant(フェビピプラント)」の良好な試験結果が海外で話題に
気管支喘息は自らの免疫システムが(通常は見逃すべき)自己に対して過剰に反応してしまう自己免疫疾患とされ、その治療には禁煙など生活習慣の改善に加え、医薬品による治療や症状コントロールが施されます。
特に、ステロイド吸入薬はその効果の高さが知られぜんそく治療薬として広く活用されています。
が、しかし。
一部の患者にはステロイド系の医薬品が奏効せず、日常生活における息苦しさや発作の恐怖など患者のQOLを改善できない例が認められています。
新規医薬品候補
2016年8月現在、この「少数ステロイド非著効患者」に対して研究開発が進められている医薬品候補の中から、海外医薬関連情報サイトで大きな話題となっている化合物があります。
Fevipiprant(フェビピプラント)です。化学構造式などの詳細は以下のページをご参照のこと。
「プロスタグランジン D2 受容体」と呼ばれる化合物群の一つです。
世界的な製薬企業である、スイスのNovartis(ノバルティス)社の開発品として、パイプラインにも記載がありますね。
当資料において「主要試験のデータ 読み出し予定」が2019年とされていますが、実施中の小規模臨床試験の結果が良好であったため、海外の医療サイトで話題となっています。
以下の資料においても、「QAW039」の化合物名で登場しています。
Phase III(2016年4月現在)
とのことなので、着々と治験は進行中のようで。
Fevipiprant(フェビピプラント)の効果や如何に?
Googleで「massive promise」と検索すると、どうなるか。
2016年8月17日現在、Fevipiprant(フェビピプラント)の治験結果を報じるニュース記事で埋め尽くされています。
大きくて重い、どっしりした、大きい、がっちりした、大規模な、大きな、大量の、広く行きわたった
という意味のmassive。
「こーれはモノになるで!」
という熱い希望的観測が滲み出ています。
ただ、当ニュースの元ネタは61人の中等度および重度の気管支ぜんそく患者を対象としたプラセボ対照試験であり、半数がFevipiprant(フェビピプラント)、残り半数がプラセボに割り付けられた結果です。
過度の免疫反応の指標となる好酸球の増加や、自覚的な息苦しさの程度が非常によく改善されたそうで。
「人生変わったで、マジで!」
とは被験者の弁(大いに医薬意訳)。
承認されるまでには、もう少し規模を拡大する必要がありそうです。
ただ「夢の新薬候補」がその後、夢と消える例もあるので、「慎重な楽観主義であるべきだ」との声も。
それに、こうした報道が治験参加者の耳に届き大きな期待を寄せることになれば、プラセボ効果をのさばらせる大いなるスキをつくることにもなりかねないので、ご用心。
それでも、息詰まり感や大きな発作への恐怖が改善されれば人生の質が向上するぜんそく患者にとっては非常に期待の持てる試験結果ではありますね。期待。
追記(2016.9.7)
別の喘息治療薬候補となる抗体医薬品の臨床結果が、これまた良好と話題に。
重症ぜんそく患者の光明となるや否や。